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2012年07月04日

クリエーター科 林業再生講座 「木材の流通と販売戦略」

クリエーター科 林業再生講座 「木材の流通と販売戦略」

木材の流通と販売戦略

 この授業は森林文化アカデミーのクリエーター科、林業再生講座2年生のためのものです。森林整備を推進する上で、川上の人間が川下の人々がどのような木材を欲しがり、それをどのように流通させ、どのように加工しているのか。どのような販売戦略をとっているのかを知ることが重要です。
 川下の情報を受けて、川上が動けるようにするための知識を得るため、今回は関市になる岐阜木材ネットワークセンター県森連の岐阜共販所、郡上市にある東海木材相互市場サテライト美並本庄工業大和製材工場にお邪魔して、流通から加工までの一連を勉強しました。


 今回も県庁県産材流通課の中通実技術主査をお招きして、各現場で説明をしていただきました。


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 最初に岐阜木材ネットワークセンター所長の松尾良三さんから、県森林組合連合会における木材流通の取り組みについて、市売りやシステム販売について講義を受けました。
 県森連では生産(供給)と需要のバランスを取りながら丸太の取扱量を拡大することを目的に、「システム販売」に平成17年度から試行的に取り組みを開始し、人員削減などの合理化策につとめた結果、開始当初には原木市場単独では赤字であったものが平成21年度以降は黒字化している。
 平成23年度には総取扱量の68%はシステム販売とし、システム販売の約半分を山元土場や中間土場で仕分け、検知して製材工場などに直送している。木材には付加価値がついても木材の輸送費にはつかないので、いかに輸送費を圧縮できるかが山土場や中間土場にかかってくる。


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 23年度に5,000立方メートル以上納品した主要なシステム販売先(合板会社や製紙会社、製材工場など)の実績は118,000立方メートルに達している。また国内の主要県森連の共販市況における価格変動を見ると、岐阜県のシステム販売が価格安定しており、乱高下がないこともグラフで示されました。
 松尾さんは「山に立木で立っている段階では資源、しかし一度伐採すればそれは商品になる」、「山の資源を在庫ととらえて、商品がいつでも必要量調達できるようにするのが重要」と説かれました。
 今後の安定供給のためにも、森林共同施業団地化(国有林、市、森林公社、森林総合研究所、造林組合)による2,729haの団地化のための話もして下さいました。


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 続いて、県森連の岐阜共販所の富田所長さんから主に共販所での木材についてお話をお聞きしました。ここには一般の製材業者の方が入札する市売り、つけ売り、特売、システム販売(製材、合板、集成材)の原木(丸太)が並んでいます。
 富田所長さんは、 今売れない木。
          どうしてこの木がダメなのか。
          樹皮が剥けたら何が悪いのか。
          好まれない丸太はどのような丸太か。
 などを説明して下さると同時に、学生が土場に椪積(はいづみ)された丸太を見て、次々に質問してゆきます。


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 富田所長はプロの目で見て、この時期に樹皮が剥離すると丸太表面がすぐにひび割れて材価を下げること。木口面の切りそろえのあれこれ、合板工場に入荷する丸太での欠点(曲がり、寸法、根張り、木口面)などについて、判りやすく解説して下さいました。


 午後からは郡上市美並町にある東海木材相互市場サテライト美並で営業係長の小森淳史さんからお話をお聞きしました。
 株式会社東海木材相互市場は東京木場の木材卸売り市場にも負けない広さ2万坪の敷地が愛知県大口町にあり、毎週金曜日に年間50回のセリ市が立ちます。素材の年間取り扱い数量は桁外れに多く、浜問屋(市場市売り問屋)が13社からなっています。


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 そのサテライトを任されている小森さんによると、丸太の入荷は1〜2月、7〜8月に減少し、10〜12月に多くなる。丸太の8割がスギで、2割がヒノキ。ここでは大型トラックの出入りから、個人が軽トラックに丸太を積んで一本単位で木材を持ち込むことが可能で、丸太は一本一本荷主ごとに検地する。
 一般に梅雨時に持ち込まれる丸太は樹皮が剥けやすく、丸太表面にヒビが入りやすい。またヒメスギカミキリなどの虫による穿孔も発生しやすくなる。

 丸太は長さ別、末口、元口に合わせて一本ずつ6種類に分ける。Aランクは製材並材、2Aは小曲や欠点のある製材、Bは集成材、2Bは合板、Cはチップ、そして最後に大口町で競りにかけるような良いもの(約5%)で、青は製材2A、緑は集成材B、黄は合板2B、赤はチップCなどのマーキングをする。
 支払いなどはスピーディで金曜日には締め切り、月曜日には支払いと一週間単位で決済している。

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 サテライト土場を設定する条件について尋ねると、
 (1)最低2000〜3000坪の平坦地があり、取得できること。
 (2)トレーラーが入れること。
 (3)インターネットが出来る環境であること。
 (4)携帯電話が通じること。 の4つが条件と答えられました。

 また、現在ここではナラの薪(長さ45cm)づくりもしており、大阪や京都、名古屋、新潟のピザ屋に搬送している。40×40×60cmくらいの段ボール箱を着払い3000円で毎月350箱出荷しており、毎日、シルバー人材の方が薪づくりに励んでいます。


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最後に、本庄工業株式会社(岐阜市北鶉)の郡上大和製材工場です。ここには社長さんの中川稔之さんが直々に説明して下さいました。製材は丸い原木を四角の木材にすることです。1本ごとに違う木の特質を読み取り出来る限り良い木材を効率良く挽き出します。
 丁寧な仕事によって、修正挽き、人工乾燥を経て、販売だけでなく自社の建築用材としても利用しており、「川上」から「川下」まで一貫して「木」に関わっている会社です。


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 製材は梁桁材、柱材、板類(腰板や野地板)、パレット材に至り、月に原木500立方メートル分の製材が可能だそうで、郡上市唯一のJAS認定工場となっています。
 製材端材や樹皮は黒チップとして出荷しています。多くの製材所ではバーカーで剥皮してから製材するため白チップ生産が主流ですが、白チップは単価が高い反面、市場でダブつけば収集にきてくれることが無く、それがボトルネックとなり製材できなくなる可能性もある。だからこそ、安くても取引しやすい黒チップを生産するとのこと。さすが、経営者ならではのご意見。
 ここでは製材品や乾燥材、ホワイトウッド集成材が露天に晒されるとどのように欠点が出るのか曝露試験もされており、常に研究熱心な社長の一面が見られました。
 製材工場は従来型の送材車付きの帯鋸製材(台車6mと12mの二種類)やツインバンドソー、過熱蒸気式木材乾燥システム(S-ドライ)なども見学しました。


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 学生は林業再生分野なので、製材を見た経験も少なく、みな興味津々でした。本庄工業さんの過熱蒸気式木材乾燥システム(S-ドライ)は木材乾燥での不良品発生率は5%であり、大変良い乾燥品となるそうです。
 また、梁桁材や柱材を修正挽きしていても、製材品の歩留まりは50〜55%だそうで、チップまで考えればかなりの利用率になります。

 さて、今回の「木材の流通と販売戦略」、林業再生分野の学生にとって数少ない川下側からの視点で丸太を見てみましたが、川上側が川下側の望むものを供給できれば、お互いが良い関係となって森林整備が進むと感じたのです。

 今回もお世話になった県産材流通課の中通さん、岐阜木材ネットワークセンターの松尾さん、岐阜共販所の富田さん、東海木材相互市場サテライト美並の小森さん、本庄工業株式会社の中川さん、本当に有り難う御座いました。

 以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。